設立の目的

Muse細胞(Multilineage-differentiating stress enduring細胞)は、2010年に東北大学の出澤らの研究グループにより発表された体の様々な細胞に分化することによって、傷ついたり、死んだりして失われた細胞を置き換え、組織修復をもたらすことのできる腫瘍性の無い多能性幹細胞です。2018年には心筋梗塞における臨床試験が開始され、その後脳梗塞、表皮水疱症、脊髄損傷、新生児低酸素性虚血性脳症、筋萎縮性側索硬化症、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症に伴う急性呼吸窮迫症候群(ARDS)で臨床試験が展開されております。二重盲検試験による脳梗塞治験では、重症な症状でおられた方々がMuse細胞製剤(CL2020)の投与により、一年後7割の方が介助無しで公共交通機関を利用し身の回りのことが自律的にできるまでに回復し、3人に1人は職場復帰されております。Muse細胞は多能性ですので、希少疾患を含めた様々な病気を治療できる可能性があります。

Muse細胞は健康な細胞提供者からのものであれば、HLA適合検査や免疫抑制剤を必要とせずに直接使用可能であること、外科手術は不要で点滴投与で傷害臓器に集積できること、投与前に目的細胞に分化誘導する必要が無いこと、凍結保存が可能なことなどの特性を持ち、身近な治療法となれることが期待されます。その一方で、専門の学会などで成果発表が行われていますが、まだまだ一般の方々に十分に知られるに至っておりません。

このような状況を改善していくためには、Muse細胞などの認知度、理解度を上げ、身近なものとしてそのポテンシャルを正しく理解してもらうことが肝要です。また、治療法の無い難病や希少疾患への応用の可能性についても国内外から切実な相談が多数寄せられております。国や製薬会社の治療開発から取り残されている難病・希少疾患の実態を把握し、治療応用の可能性を検討するための事業は喫緊の課題です。またドナーの提供があって成り立つ治療ですので、効率的・安定的に患者さんに届けるために必要な基盤の検討や提言も必要です。これらの事から、今後のMuse細胞などの活動の為にも、公益的組織として行っていくことが良いと考え、本法人の設立に至りました。

理事長ご挨拶

出澤理事長画像

Muse細胞(Multilineage-differentiating stress enduring細胞)は体内の多様な細胞への分化能力を有する多能性の修復幹細胞で、生体内に存在するため腫瘍性を持たず、安全性の懸念の低い幹細胞です。免疫特権を有するため、ドナー由来Muse細胞の使用にあたり、臓器移植や骨髄移植で必要とされるヒト白血球型(HLA)適合検査や長期の免疫抑制剤の投与を必要としません。直接点滴投与で患者さんに投与することで、多様な臓器の修復再生治療に応用できる利便性の高い幹細胞です。

本NPO事業ではMuse細胞などの基礎的理解、治療応用、開発促進と普及、広報・啓蒙、治療応用に関する相談・指導、効率的かつ安定的な供給体制等に関する事業を行うための公益的組織として設立いたします。

国内外でのMuse細胞などの認知度、理解度を高める広報・啓蒙活動、Muse細胞などの研究への助成・サポートを行う活動、患者団体との連携活動を行い、治療応用に関する相談・指導、効率的かつ安定的な供給体制等に関する事業を行うための公益的組織として設立いたしました。Muse細胞などを用いた治療が正しく受け入れられ、患者さんの喜ぶ姿を見ることができればと願っております。

理事長 出澤真理